無限に広がっているかのような自然の風景や錆びたまま放置された廃車、見慣れた子供の遊具。くっきりとした色のコントラストのそれら静的な風景の中に設置された無数の白い物体。それが「風船」だと気づき、私たちは困惑する。風船は幼い頃手に取り空に飛ばした記憶を思い出させる。しかし彼の写真の中で、細胞分裂を繰り返し増殖しているかのように、風景を侵略している白い物体は、我々の幼い無邪気な記憶に違和感を生じさせる。
息をのむほど美しく、そして同時に、私たちが恒常的に続くと認識している日常や記憶の均衡をゆっくりと崩させるような挑発的な彼の作品、その世界。

 

 

 

 

 

Charles Petillon

■プロフィール

1973年生まれ。2015年リールでの展示に始まり、パリ、ロンドン、上海、ニューヨーク等で個展を行う。2016年には今は無きセレクトショップ、コレット(パリ)にて展示。

■あなたのアートをあなた自身でどのように説明しますか?

私の芸術的実践は2つの分野をカバーしています。
ー写真表現。写真作品のためにインスタレーションが制作されている。(インスタレーションの痕跡は写真のみ。)
ー一定の長期的期間残すために制作されたインスタレーションは彫刻表現。

■作品を製作する上で、あるいは仕事をする上で、最も重要なことはなんですか?

とても興味深い質問だね! 前に誰にも尋ねられたことがないし、自分でも考えたことがなかった。
現在この惑星に起きているコロナに関する出来事に照らし合わせてみると、 ワークスペースという意味において、「空間」は私の創造において決定的な要素だと思う。 今まで、移動の自由が自分にとって根本的に重要な要素だと思っていたんだけれど、 コロナで家に居る指示によって、何日も何日も続けて自分は家に居ることができるんだと気づいたんだ。それはアトリエで、仕事と実験を止めることなく行うことを可能にするからだよ。空間というのは自分の芸術の延長だと考える。

 

■インスピレーションの源は何ですか?

僕は、僕らが普段の生活の中で気にもかけずに接している事柄に取り組むことを試みているんだ。それは建築だったり、消費物、社会的テーマだったり哲学的テーマだったりするよ。

 

■なぜ今のあなたの表現方法を選んだのですか?

風船を使用することは興味深いと思う。それは、この媒材の繊細さと壊れやすさと、設置場所の粗さとを対比させるからなんだ。 風船は万国共通であり、シンプルで手に入れやすく、皆その寸法と大きさを知っている物。 白色は豊かでも貧弱でもなく、安らぎと静けさを呼び起こすので、最初から不可欠な要素だった。 白さというものが、撮影場所の素材に対して、対立、コントラスト、そして不合理を深く押し込むんだ。

 

 

日本について

■日本が好きですか? 好きであれば、どんなところが好きですか?

日本には一回しか訪れたことがないんだ。フランス大使館が開催した「ボンジュール フランス」というフェスティバルの中でインスタレーションをするために訪れたんだ。だからほとんど日本を観光する機会がなかったんだ、3日間だけ東京を観光したよ。魅惑的な文化を知るためにもう一度日本に行きたいとすごく思うよ。

 

■日本についての何か特別な経験や思い出などはありますか?

東京で一番印象に残ったのは、空間の使い方だった。 1センチ平方でさえ無駄にしていないにもかかわらず、息苦しさや圧迫感を感じなかった。 住居へのコンクリートの使い方の、その品質と周りに溶け込むその様には目を見張るものがあり本当に素晴らしいと思う。 しかしいちフランス人にとって、最も当惑したのは、寺院以外、古くからある建築をほとんど目にしなかったこと。(けれど後になってから、そういうことの理由に非常に厳しい町計画ルールが関連しているということを知って理解したよ。)

 

■日本の芸術家もしくは芸術作品で興味があるものはありますか?

建築家の安藤忠雄、写真家の植田 正治、現代アーティストの塩田 千春、デザイナーの柳 宗理や佐藤 オオキを非常に高く評価しています。

 

■日本の芸術家やその作品をどうみていますか?

さっき挙げたアーティストたちのリスト以外から見ても(塩田千春を除いては)、彼らの表現方法が何であれ、彼らのすべての表現の中には、純粋さ、明瞭さ、繊細さという特徴が挙げられると思う。

 

■日本のアートとフランスのアートには違いがあると思いますか?

もちろん、文化が違うしそれは当然だと思う。

 

■今後の活動の予定があれば教えてください。

私は現在8月23日までフランス南西の街オルレアンの、サンピエールルプエリエ教会 (Collégiale Saint Pierre le Puellier)で展覧会を開いています。
次回のパリでの展覧会は、9月21日から1月13日までグラフギャラリー(la galerie Graf)で開催されます。

 

 

 

http://www.charlespetillon.com/

Texte : Ayami Ijima

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