Pablo Savón

白塗りの壁のギャラリーでの展示会や、情熱を注ぎ熱心に仕事をしている職人のアトリエ。あるいは夕食に招待された日本人の家で。私たちはそこに陳列された陶芸作品を、落ち着いた気分で鑑賞する。陶芸作品を目にする機会というものは、「(意識的にせよ無意識的にせよ)それらを愛でる心の準備ができている状態」と「その心の状態が容易に生み出される場所」がセットになっている時ということがほとんどではないだろうか。しかし、ストリートアーティスト、パブロ・サヴォンはその考えを吹き飛ばした。

パリの通り、壁に掲げられたグラフィティと同様に壁に設置された彼の作品。都市の喧騒の中で、私たちは陶芸作品に遭遇する。そして目を奪われる。

グラフィティに使われるタグのような形、近づくと見えてくる、朝鮮や日本の伝統陶芸の技術を使い、施された文様。壁に描かれたグラフィティと、壁に設置された陶芸。所有者の許可無しにあらゆる物に対して行われる自己表現という、芸術における*ヴァンダリズムの行為は同じであるにもかかわらず、私たちはそれらを前にし、グラフィティと陶芸の間には、目に見えない、けれども確固たる何か認識の違いがあることに気づかされる。

ストリートアートがわたしたちに差し出す、躍動する都市を眺める新たな視点。都市とともに新たな価値を持ち、活きる伝統文化。アーティスト、パブロ・サヴォンは芸術と破壊行為の境界に作品を架ける。

*ヴァンダリズム: 公共または私有財産を故意に破壊する行動主義

 

©Pablo Savón

 

©Pablo Savón

 

©Pablo Savón

 

©Pablo Savón

今の芸術表現を始めたきっかけは?

僕が10歳のとき、母が僕には何も言わずに、粘土造形の3ヶ月間のレッスンに申し込んだんだ。面白いのは僕は最初のレッスンが嫌いだった。でも学期が終わった後、新しい情熱をすぐに陶芸に見出したんだ。それが僕が土の世界へ入った始まりだった。

プロとしてのキャリアとしては、僕にとってすごく重要な経験になった2016年のオーストラリア、メルボルンにあるホージャーレーンでの短期滞在がある。そこは路地の壁一面にグラフィティが描かれているメルボルンにある中心部のエリアなんだ。グラフィティに対する僕の視点が完全に変わって、あの時に、陶芸とグラフィティこの2つの世界を融合するというアイデアを思いついたんだ。

それから2017年に、初めてパリの壁に最初のグラフィティを制作した。半分はマーカーで、もう半分は陶磁器で。数日後その壁は、陶芸部分はそのまま残されていて、マーカー部分は完全に塗り直されいたんだ。そう、それで、特に公共の場所での陶芸の認識や、芸術とヴァンダリズム(破壊主義)の境界について、何か面白いことを僕は提起しているんだということがそこでわかったんだよ。

あなたのアートをあなた自身でどのように説明しますか?

セラミックを壁に貼り付けるという行為からは、ウォールアートという表現が意味をなす。 僕は都市の陶芸を表現しているんだ。

 

■制作すること、そしてあなたの仕事全般において最も重要なことは何ですか?

僕の陶芸釜。 陶芸釜はすべての陶芸家にとって断然最も重要な要素で、僕たちが創造し表現することを可能にしてくれるのが陶芸釜なんだ。 彼が僕たちの制作の失敗や成功を左右している。

 

©Pablo Savón

 

©Pablo Savón

あなたのインスピレーションソースは何ですか?

陶芸は最初の火の芸術だから、非常に豊かで深い歴史があって、多くのインスピレーションの源がある。 僕の作品では、伝統と現代性を組み合わせるように努めているので、陶芸の歴史にはとても興味を持っているんだ。 それに比べてグラフィティムーブメントははるかに歴史が若いけれど、グラフィテイは豊かな芸術でもある。僕は街の通りで見ることができるもの、線、動き、色などに触発されているよ。 僕にとってアーティストは、周囲のすべてを吸収するスポンジのようなものであらなければならない。

 

■なぜこの表現方法を選んだのですか?

僕のアートとの最初の関係は10歳のときの陶芸で始まり、それ以来それを離れることはないんだ。

 

CECI N’EST PAS UNE ORDONNANCE ©Pablo Savón

■あなたの制作したもの中で、好きなプロジェクトは何ですか?そしてなぜそれはそれほど特別なのですか?

僕のアプローチの中の対比を象徴する自身のプロジェクト「guraffitea(グラフィティア)」がすごく好きだよ。 でも最も成果をあげているプロジェクトは、現在開発している互いにはめ込むタイプのグラフィティかな。

 

■制作の中で何を強調したいですか? どのような価値観を守りたいと思いますか?

陶芸とグラフィティに関して別の視点を提供できたらいいなと思っているんだ。

職人の陶器に限定されることが多い陶芸いう芸術のすべての多様性と深みを示すこと。 アートとヴァンダリズムの境界線を問うこと。

 

GRAFFITEA
GRAFFITEA ©Pablo Savón
Pablo Savon et le Japon

■日本は好きですか?

好き。2019年に日本に行ってから、また行きたくてしかたがないよ。

 

■日本の特別な体験や思い出はありますか?

富士山をバックに作品を制作したんだ、とても誇りに思ってる。 これは、10カ国で10回のグラフィティをやりたいという展示プロジェクトのためのもの。 日本の陶芸ギャラリーの数にも驚いたよ。15日間の旅行で約50ギャラリーを回らなければならなかったんだ。すごく幸せだった。

 

©Pablo Savón

 

©Pablo Savón

■興味のある日本のアーティストや作品はありますか?

陶芸アーティスト、岩村 遠の作品が大好きで、京都滞在中に実際に会ったんだ。 素晴らしい出会いだった。日本の陶芸家全体を賞賛しているよ。それぞれの器は魂から作られている。それぞれのボウルが何かを放っている、それは非常に印象深いことだよ。

 

©Pablo Savón

 

PLOYJE ©Pablo Savón

■日本のアーティストとその作品をどのように見ていますか?

日本は工芸の国だよね。 ノウハウと行為の完成度を高めることに長けた国。 そこにとても感心させられているよ。

 

©Pablo Savón

■最後にひとこと

目を見開いてください。アートは街の隅々に存在している。

 

©Pablo Savón


パブロ・サボン
ストリートアーティスト兼陶芸家。パリ郊外のアスニエール生まれ。
科学の学士号を取得後、ソルボンヌ大学で美術史と哲学を専攻するが、 応用美術を学ぶことへ転向するため中退。その後パリ、ENSAAMAにて、芸術及び陶芸デザイナーの資格(BTS)を取得。

https://www.pablosavon.fr/

(Texte : Ayami Ijima)

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